活動記録

2025年4月13日に予定されていたJR福知山線廃線敷(西宮名塩~武田尾)の観察会は、雨天のため中止になりました。


2025年5月11日(日) せんなん里海公園(淡輪~箱作)観察会

 昨年は雨で延期になり、今年も予報がよくなく心配していたが、降り出しが遅くなり、昼間は晴れ間ものぞく天候で観察会を実施することができた。ほぼ同じコースで2005年9月と2012年5月に、高田さんと奥田さんの担当で観察会が実施されており13年ぶりである。

 淡輪駅に10時に集合。地図や植物リストを配布後歩き始めた。駅前の空き地でキヌゲチチコグサやヒメブタナなどの外来植物を観察した。海岸までの道では、ダンチクや逸出したタマシダなどを見た。また、高さ4~5mほどの木に白い花が咲いていて、何かと思って近づくとトベラであった。街なかに栽植されているのはこんな大きくならないので珍しかった。

 海岸に到着して青少年海洋センターの横の砂浜で、ハマヒルガオやハマダイコン・ツルナなどを見て、海岸の後背地にある急な海食崖の植生を観察した。ウバメガシが優占しているが、エノキやムクノキ・ヒメユズリハ・カクレミノなどもある。その下にトベラやシャリンバイなどの低木、林床にはオニヤブソテツ・ヒトツバ・ツワブキなどが目立つ。クサイチゴ・ヒヨドリジョウゴ・ヨウシュヤマゴボウなどが伸び始めている。

 陰で涼しい海食崖の崖沿いに歩いて行き、人工砂浜で花盛りのハマヒルガオ・コウボウムギの雌株と雄株・咲き始めのハマボウフウなどを観察してから、近くの木陰で昼食をとった。午後は磯遊びの家族連れが多い人工磯浜を通って、公園内を移動する。園内にはハマゴウやハマナスなどが植えられている。次に人工的に作られた塩性湿地へ行った。この日は大潮に近く12時8分が干潮で、行った時間帯には大きく潮が引き、ハマサジが観察できた。黄色い花が咲き出しており、以前はスターチスという属名であったことからもわかるように、花は園芸種のスターチスを小さくした感じである。他に発芽して間もないホソバハマアカザが多数あり、後背地にはヨシやハマゴウ・イソギク(自生ではない?)があった。

 次に田山川の河口の湿地にあるヒトモトススキを見る。阪南市の天然記念物にしてされており、大阪ではここと東大阪の日下新池でのみ見ることができるが、以前は湿地一面に広がっていたが、今では数株が残るものである。また、万博開催前の夢洲で見たことがあるが、現在はなくなっている。ここから箱作海岸へ向かう。途中、ウラシマソウの群生を見る。まだ、花が残っており、いわゆる釣り竿のようなものを見ることができた。キノコバエの一種が好むにおいが出ていて、これを伝って花の中に入るそうだ。箱作海岸では、1mに達するハマウドがにょきにょき伸び、砂浜にはオカヒジキが多かった。ハナヒルガオ・ツルナ・ハマダイコン・ハマボッスの花が咲き、海岸にはアマモの葉が打ち上げられていた。ここからが里海公園を離れ、加茂神社を経由して箱作駅へ向かい駅で解散した。(木村記)


2025年3月9日(日) 庭代台のアマナ(ミニ観察会)

 今回は、初めての試みとして、アマナの観察を主な目的として半日だけのミニ観察会を実施した。ただ、今年は冬から寒さが厳しくアマナの花の開花が見られるか心配な中で開催した。泉北高速鉄道栂美木多駅を9時35分出発。栂文化会館前でハンノキの垂れ下がった雄花穂を確認、雄花穂に長い柄があり、柄のないヤシャブシの仲間との区別点と説明があった。イロハモミジの赤い小枝を見ながら進む。陸橋の上から道路に植えられたアメリカフウの小枝を観察、その後道路に出て身近で小枝に翼が付いているのを確認した。同じ仲間のタイワンフウには翼は出ないので、一つの区別点だそうだ。西原公園に入り、ツバキの花を見た。その横に木に隠れるように地元歌人(阪口千寿)のヤブツバキを詠んだ歌碑があり、長年ニュータウンに住んでいてはじめて歌碑を見たので驚いた。公園には開発前の丘陵が残っており、その林には、センリョウ、ナンテン、シュロなどが生えており園芸種の種が鳥などにより運ばれて入っているとのことでした。この場所で、オオシマザクラとソメイヨシノの冬芽を観察した。ソメイヨシノはオオシマザクラとエドヒガンの雑種といわれており、冬芽をみると、ソメイヨシノにはわずかな毛が有り、オオシマザクラに毛が見られない。エドヒガンには毛が多く、ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラの中間の形質を持っているとのことでした。

 少し下ってアマナの群生地を確認、緑の葉が一面に拡がっている。その中心には、サクラと思われる切り株があり、約50年ほど前に苗木として運ばれ、その木の根元の土に付いてきて、周りに拡がったのだろうと説明。木村副会長が以前に採取したアマナの種子を見せてもらった。種子にはエライオソームと呼ばれるアリが好む成分があり、アリが種子を巣穴に運び、好きなところだけを食べて、残った種は巣穴から運び出すので、種子が散布されるとの説明があった。まだ、花は咲いていなかった。

 道路に出て高架下へと進む。フェンスに伸びたクズの冬芽、溝から伸びたヤエムグラ、花が残っているアラゲハンゴンソウ、咲きだしたカンサイタンポポの花、ツクシ、スズメノヤリの葉などを見て原山公園に入り、長池の周りの雑木林に接した遊歩道を進んだ。コウヤボウキの種、コバノミツバツツジ、モチツツジ、ネジキなどを観察し、新しく出来たプールの施設では最近よく植えられているシマトネリコとオカメナンテンの植栽をみて、庭代公園への遊歩道を進んだ。ハマヒサカキの生け垣、ミチタネツケバナ、キクザキリュウキンカ、ボケなどの花を見ながら、庭代公園のアマナの群生地に到着。果たして花が咲いているか? 皆で懸命に探した。少し離れたところから、花が見つかったとの声、花が二輪咲いていた。今井から、アマナの生活史の説明があり、この場所で12時過ぎに解散。これまでに開催したことがない季節でのミニ観察会、新鮮で良かったと思う。


2025年2月23日「河内長野市高向・花の文化園」観察会

 「府立花の文化園」は1990年9月に開園した植物園です。今回は少し先のバス停「汐滝橋」から、まず春を待つ山里の道端植物を観察しながら園に向かいました。ロゼット状のオオアレチノギクもある中、早くもヒメオドリコソウやオオイヌノフグリがわずかに花を咲かせていました。冬でも青々としたシダやコケを観察する方々もありました。

 「花の文化園」ではガイドの方に案内をお願いしました。今年の冬は寒さが長引き梅はちらほらしか咲いていません。それを補うようにロウバイ園ではまだ見頃の花がよい香りを漂わせていました。この日は寒いながらよく晴れていたので、フクジュソウがパラボラアンテナのように大きく開いていました。その他、早春の花バイカオウレン、セリバオウレン、セツブンソウの可憐な花を楽しみました。またこの地域特有のイズミカンアオイの花もありました。これからユキワリイチゲやミスミソウが咲き出すそうです。樹木ではマンサクが独特の黄色い花をつけていました。ふと目の高さに、通常は樹上高くにあるヤドリギが見えます。これは見やすいように着生させたそうで、丸い黄緑色の実がよくわかりました。その他、オーストラリア原産のバンクシアの仲間やギョリュウバイの花など、外国産の樹木もあります。四季を通じて楽しめるようボランティアの皆さんが手入れしておられるそうです。

 その後は自由行動とし、温室を見学したり、再度観察に行ったりして終了しました。


 下は当日観察したバイカオウレンとセツブンソウです。



第48回会員発表会

◎ 日時 2025(令和7)年1月12日(日) 午後1時30分~4時30分

◎ 場所 堺市立南図書館(TEL 072-294-0123)3階 集会室2

 ※交通:泉北高速鉄道「泉ヶ丘」駅下車南西約300m、泉ケ丘市民センター内

• 発表者及び演題

・今井 周治 「岩手県の早池峰山などで見た高山植物」

・酒井 和子 「堺・鉢ヶ峯 里山の花めぐりー2024」

・左木山祝一 「コケ植物の歩んできた道筋」

 < 休 憩 >

・ 芦田 喜治  コケ2024 

・左木山 祝一 「鶴見緑地植物観察会(2024年観察会より)」


 午後1時30分,木村副会長から昨年の活動や今年の行事の紹介,会誌の表紙を飾ったスズサイコの解説などを加えたあいさつで,年初めの会員発表会が始まりました。

 1番目は,今井周治さんの「岩手県の早池峰山などで見た高山植物」の発表です。東北各地を訪れたときの旅や登山の様子とそこで見た植物を,早池峰山の高山植物を中心に美しい写真で紹介していただきました。

 2番目は,酒井和子さんの「堺・鉢ヶ峯 里山の花めぐり-2024」です。1年を通して鉢ヶ峯に通い続けて得た貴重な情報や美しい植物の写真を,軽妙な「酒井節」にのせて紹介していただきました。これは個人的な感想ですが,この貴重な情報をぜひ,会誌にも投稿して残していただきたいと思いました。

 3番目は,左木山祝一さんの「コケ植物の歩んできた道筋」です。コケ植物が歩んできた道筋を,最新の情報を駆使しながら,まるで高校の授業のような理論的な説明をしていただきました。

 休憩をはさんで4番目は,芦田の「コケ2024」の発表です。2024年に出会ったコケの紹介と,会誌に投稿した内容について解説しました。

 5番目は,再び左木山祝一さんの登場で「鶴見緑地公園観察会報告(2024年観察会より)」です。観察会の会場になった鶴見緑地公園の歴史に始まって,講義調の格調高い観察会の報告をしていただきました。

 そして,会場の借りられる時間が迫る中,出原副会長の閉会の一声で,会員発表会も無事に終了しました。最後に,発表会全般の調整をしていただいた木村副会長,むずかしい司会役と,会を円滑に進めるための時計係もしていただいた出原副会長,受付役の会計担当の藤村さん,すばらしい発表をされた発表者の皆さま,そして,その発表を熱心に聴いていただいた発表会に参加された皆さまに感謝いたします。